シャフトが曲がりすぎていないアイスバイルならばピッケルの代わりになる。ピッケルをアイスバイルとは別に買う場合の注意点を考えてみる。
説明を簡単にするために、一般に縦走に使うアックスをピッケル。アイスクライミングに使うアックスはアイスバイルと呼ぶ。
事実として面白いのはアックスは英語だが、ピッケル・バイルはいづれもドイツ語であるということ。
ピッケルとアイスバイルは異なるコンセプトで作られている。山行でどちらを使うのか、さらにいうと山道具屋でどちらを買うか意識することが重要である。
ピッケルは”氷河や雪稜を歩く”ために古くからヨーロッパアルプスで発達した道具である。それに対してアイスバイルは”ピオレトラクション”とよばれる登り方で”氷を登るために”近年開発された道具である。
ピッケルは縦走用である。よって杖代わりに使うために長さは立った姿勢で雪面にピックを指す必要がある。歩くための道具であるのでハンマーを使う必要はない。そのため基本的にブレード背面はブレードである。そもそもハンマーが必要であればシャフトは短い必要があるので、必然的に背面はブレードになる。負荷はそれほどかからないためにシャフトの素材は必ずしも強度は求められない。つまり木(トネリコ、ヒッコリー)でもよい。
それに対してアイスバイルはより難しい氷(垂直~オーバーハング)を登るために作られた道具である。ピッケルとの違いはピックの形状・長さ・ベンドである。
シャフトが曲がりすぎていないアイスバイルならばピッケルの代わりになる。
ピッケルを買う際に考えることはピック・ブレードの素材と形状、スパイクの形、シャフトの素材・長さ・太さ・形状、シャフトの滑り止め、重量といったところ。
主なメーカーはBlackdiamond, petzl, grivel, camp, simond, DMM
以前はピックの歯がいまいちなメーカーがあったが、最近は上記メーカーならほぼ違いはない。ピッケルはピックの形状はストレートであるが、アイスバイルはリバースになっている。これはリバースにすることで氷からすぐに外せるようにするためである。
ピックとシャフト間の角度により扱いが変わる、角度が大きい(ピックが水平に近い)と刺さり具合が悪い、角度が小さい(ピックが湾曲している)と刺さるけど扱いが難しくなる。→適当な傾斜がついていること。
スパイクはスパイクがついているものとシャフトを切って中空になっているタイプがある。スパイクがついていると固い雪で杖として使える。シャフトが中空だと雪にもぐるので埋めるのが楽→どちらでもよい。軽量なピッケルはスパイクがついていないことが多い。
シャフトの長さ。今は短いのが主流、女性なら50cmから55cmくらい。
シャフトの太さ。あまり太すぎると持ちづらい。大事なのは手袋をしてしっくりくる太さのピッケルを選ぶこと。
シャフトの形状、ストレートとベンド。少しベンドしているほうがアイスアックスの代わりにもなる。→少しベントしているほうがよい。
シャフトの素材はアルミニウム、最近はカーボン合成がある。カーボン合成だと値段はかなり高くなる。効果はよくわからない(軽くなる?強度があがる?)
シャフトの滑り止めは大事。いろいろな素材があるが、雪が解けて水になっていてさらに濡れた手袋でも滑らない素材の滑り止めがついてること。
重量。最近は軽い傾向になっている。250gというのもある。重すぎると使うの億劫になる。ただあまり軽いと持っている感じがしなくて微妙に不安になる。
TとBしるしがある、基本はTを選んだほうが無難。
いままで使った中でのおすすめとしてはGrivel Air Tech Evo, Camp Corsa Nanotech
使ったことないけどよさげなのはCamp Alpina, Pezl Summit, BD Venom, DMM Raptor